有料

米軍、長期停止に焦り


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ワシントン共同】米軍は昨年11月の鹿児島県・屋久島沖墜落事故を受けた輸送機オスプレイの飛行停止が約3カ月の長期に及び、焦りを募らせていた。米国内外で400機以上が地上待機となり、自衛隊との訓練参加も見送る事態に。事故につながった部品不具合の原因は不明のままで、運用再開は手探りで進む。
 オスプレイはヘリコプターよりも速く飛行でき、人員や物資の積載量も多く航続距離も長い。最も多くの機体を保有する海兵隊は「2007年の配備後、作戦遂行能力を根本から変えた」と重要性を強調する。台湾有事を念頭に部隊を島しょ部に分散展開させ攻撃拠点を確保する構想「遠征前方基地作戦(EABO)」に欠かせない。
 だが飛行停止を受けて米軍のオスプレイは、九州・沖縄で実施中の海兵隊と陸上自衛隊による離島奪還訓練アイアン・フィスト(鉄の拳)に参加できなかった。
 海兵隊によると、飛行停止の間も機材整備を続け、地上走行やシミュレーターを使った飛行訓練を実施して即応性の維持を図った。緊急時の細かい手順の確認を盛り込んだ飛行再開計画を定め、乗員や整備士の練度を取り戻す。
 屋久島沖で墜落したのは空軍所属機だったが、海兵隊のオスプレイも事故が相次いでいる。22年6月に米カリフォルニア州で墜落し5人が犠牲になった。昨年8月にオーストラリアで3人が死亡した事故は現在も調査が続く。米軍の担当者はデータに基づき安全対策を実施し、事故の再発防止に必要な措置は確実に取っていると強調した。