有料

処理水放出「賛成」70% 世論調査 「説明不十分」68%


処理水放出「賛成」70% 世論調査 「説明不十分」68% 福島第1原発処理水海洋放出への賛否
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 東日本大震災13年を前に本社加盟の日本世論調査会は9日、原発に関する全国郵送世論調査の結果をまとめた。昨年8月に始まった東京電力福島第1原発の処理水海洋放出に「賛成」が70%に上った。一方で放出方法や安全性などに関する政府や東電の説明が「十分だとは思わない」と答えた人は68%だった。
 賛成理由を二つまで尋ねると「国際原子力機関(IAEA)が『国際的な安全基準に合致する』としているから」が最多で70%、「処理水を原発敷地内のタンクにため続けると廃炉の妨げになる」が46%で続いた。反対理由は「トリチウムに不安がある」62%、「トリチウム以外の放射性物質に不安がある」60%の順に多かった。
 放出後の水産物への安全性を「懸念している」は「ある程度」を含め計50%。「懸念していない」は「あまり」を含め計49%で拮抗(きっこう)した。
 今年1月の能登半島地震を受け、住んでいる地域での大地震発生に「不安が高まった」との回答は「ある程度」を含め計85%。原発事故に備えて自治体が定める避難計画を「見直す必要がある」は94%に達した。
 今後の原発利用は「今すぐゼロ」が4%、「将来的にはゼロ」は55%。理由を二つまで尋ねると「福島第1原発事故のような事態を再び招く恐れがある」が最多で80%、「地球温暖化対策は再生可能エネルギーで対応できる」が29%で続いた。
 「原発を一定数維持」と「積極的に活用」は計39%で、理由は「原発がなければ電気が十分に賄えない」が最多で82%だった。
 除染で出た土を公共事業で使う国の方針に「どちらかといえば」を含め賛成の人が計57%。「どちらかといえば」を含めた反対は計41%だった。
 調査は1~3月、全国の18歳以上の男女3千人を対象に実施した。