関連死を含め2万2千人以上が犠牲となった東日本大震災は、11日で発生から13年となる。東京電力福島第1原発事故の影響で今も全国で約2万9千人が避難生活を送るなど、かつての日常を取り戻す復興の歩みは道半ば。被災地では9日、震災の教訓を語り継ぐ取り組みが各地で見られたほか、能登半島地震の被災地に思いを寄せる声も聞かれた。 (23面に関連)
大津波に襲われ約1400人が犠牲となった宮城県気仙沼市。3階の教室に自動車が突っ込んだままの震災遺構、気仙沼向洋高旧校舎では、語り部が来訪者に津波の脅威を説明し、命の大切さを訴えた。妻厚子さん=当時(58)=を亡くした佐藤誠悦さん(71)は「つらい経験だったが、十三回忌が過ぎてようやく思い出になってきた」と話した。
福島県相馬市で地元の魚を扱う「浜の駅松川浦」では、原発処理水の海洋放出に伴う風評を払拭しようと、地元のアンコウの汁料理を無料で振る舞った。相馬市の漁師立谷泰寛さん(45)は「たくさん食べてもらえてありがたい。検査して安全が確認された魚しか出荷していないので安心です」と強調した。
能登半島地震の被災地応援のため、富山県氷見市で水揚げされた天然ブリを使ったメニューも提供。福島市の公務員吉川武彦さん(55)は「能登に足を運ぶことは難しくても、できることで応援したい」とエールを送った。
警察庁によると、東日本大震災による死者数は1万5900人、行方不明者は2520人。復興庁によると震災関連死は3802人に上る。