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「情報不足 納得できず」 屋久島住民 政府姿勢に疑問


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 米軍がオスプレイの飛行再開を決定したことに対し、昨年11月、8人が死亡したCV22オスプレイ墜落事故が沖合であった鹿児島県・屋久島の住民からは9日「原因を伝えてくれないと納得できない」と不満の声が上がった。「米側の報告を聞くだけの立場になっていないか」と、主体的に事故調査に取り組む姿勢がうかがえない日本政府の対応への疑問も広がった。
 オスプレイが墜落する瞬間を目撃した屋久島の漁師中島正道さん(68)は「結局、具体的な原因は私たちには分からず、腹立たしい」と憤った。
 木原稔防衛相は9日、米側から「これまでにないレベルで詳細に報告を受けた」と強調し理解を求めたが、中島さんは「日本が主導して調査をしたのか。国民を守る立場で毅然(きぜん)と対応してほしい」と指摘した。
 同県の塩田康一知事は「国には事故原因と再発防止策について丁寧な情報提供を求めたい」とのコメントを出した。
 約40キロ離れた馬毛島では、米空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)を行う基地の整備が進んでいる。漁師の渡辺和紀さん(75)は「米軍には必要なのだろうが、また落ちる可能性もあるのではないか」と不安を口にした。
 「仕方ない。米軍や政府を信用するしかない」と諦め気味に話すのは、NPO法人「屋久島うみがめ館」代表の上田博文さん(58)。「安全性の問題は聞いており、頭の上を飛ぶとなると不安がある。飛行経路を示し、不安の解消に努めてほしい」と注文を付けた。