有料

訪問介護事業所赤字36% 22年度 報酬減額で悪化も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 高齢者の自宅をヘルパーが訪れて食事などのサービスを行う訪問介護事業所のうち、36・7%が2022年度に赤字経営だったことが11日、厚生労働省の集計で分かった。
 厚労省は訪問介護事業所全体で見ると利益率は高いとして、収入に当たる介護報酬の基本料を24年4月から減額する。業務の効率化が難しく、経営が苦しい中小事業所は一層の収支悪化やサービス低下が懸念される。
 中小の事業所が、地域の訪問介護の重要な担い手になっている場合も多い。倒産や閉鎖に追い込まれれば、サービスを受けられない「介護難民」が出てくる可能性がある。
 厚労省は23年11月、介護事業所の経営実態について、訪問介護事業所全体の平均利益率は7・8%だったと公表。全22業態の平均利益率は2・4%で、訪問介護は他の介護サービスと比べて十分な黒字を確保しているとして、報酬改定で基本料の引き下げを決めた。
 野党の要求を受けて今回新たに、訪問介護事業所の利益率の分布状況を集計したところ、赤字を意味する「利益率0%未満」の事業所は、全体の36・7%を占めた。
 光熱費などの物価高も背景にある。介護業界関係者によると、比較的規模の小さい事業所は、高齢者宅を一軒一軒訪問するため、移動費や待ち時間などを含めてコストがかさみ経営が厳しくなりがちとされる。