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オスプレイきょうにも再開 政府、米側に押され容認 関係自治体 反発相次ぐ 知事「配備撤回を」


オスプレイきょうにも再開 政府、米側に押され容認 関係自治体 反発相次ぐ 知事「配備撤回を」 会見で政府を批判する玉城デニー知事=13日午後6時2分、県庁(又吉康秀撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 沖縄防衛局は米軍普天間飛行場に配備されているオスプレイについて14日以降に飛行再開すると県など関係自治体に伝達した。前回説明時に強く求められていた事故原因に関する詳細な説明は今回も行われず、地元からは反発の声が続出。県の質問に防衛局側が回答できずに持ち帰った内容も複数あったといい、飛行再開を急ぐ米側に押され、準備不足のまま飛行を容認せざるをえない構図が浮き彫りとなった。 (1面に関連)
 防衛省は「慎重に運用再開のプロセス(過程)を進めていく」として難易度の高い飛行形態を実施するのは先の話になることを強調するが、住宅密集地に囲まれた普天間飛行場や嘉手納基地ではホバリングや基地周辺の飛行などでも影響が大きい。飛行が再開された時点で危険な状況に戻る。

■説明不足
 防衛局の説明に、県内首長がそろって反発の声を上げた。
 飛行再開前の説明として必要とされたのが、事故原因と再発防止策の具体的な内容の開示だ。
 一方、防衛省は「米国内法の制限」から、事故調査に関わる内容を対外的に明らかにできないとの姿勢を崩していない。
 だが、実際は日本の政府機関である防衛省は、米国内法が直接適用される対象ではない。防衛省幹部はその点について「直接対象ではないが、趣旨を尊重するという意味だ」と説明した。
 米軍は日本の国内法の趣旨を尊重せず振る舞う場面も多いが、別の防衛省関係者は、日本側も同様に振る舞ってしまえば「『目には目を、歯には歯を』で対抗すれば収拾がつかなくなる」と理解を求めた。
 国内の飛行再開時期は今後の調整で決めるとしていたため、県庁内では米本国での再開より後になるとみられていた。
 他国ですでに飛んだか不明な中、最初の説明からわずか5日で飛行再開が通告されたことに県関係者の一人は「不意打ちだ」と批判した。

■混乱と強行
 説明不足が指摘される中、すでに提供された資料に関する説明でも混乱を招いた。
 防衛局が11日に県に提示した「米軍オスプレイの運用再開に向けたアプローチ」と題した1枚の紙では、オスプレイを運用する米海兵隊と空軍について、3段階に分けて練度を回復していくとの方向性が示された。防衛局は同日、県の質問に対し「飛行再開は3段階目が終わってから」だと通知していた。
 一方、東京の防衛省担当者は12日、資料は住宅地周辺などでの飛行再開に向けた準備とは無関係だと説明。3段階のアプローチは「運用能力を停止前までの状態に戻す」という意味だとし、防衛局による県への説明と食い違いが生じていた。
 防衛局側も13日の県への説明で修正を図ったという。県幹部の一人は「求めていた説明はなく、行われた説明も混乱を招いていないか」と疑問を口にした。
 14日は、米空軍による嘉手納基地でのパラシュート降下訓練の実施予定日とも重なる。普天間飛行場と嘉手納基地で、地元の懸念や反発を置き去りにして米軍が訓練を強行する姿勢も鮮明になった。玉城知事は「地元の不安を払拭するための要請が(国から)きちんと行われているか、非常に疑わしい」と、両訓練を容認する国の姿勢を厳しく批判した。 (知念征尚、明真南斗)

 米軍の垂直離着陸輸送機V22オスプレイが14日以降に飛行再開する方針が沖縄防衛局から県に伝達されたことを受け、玉城デニー知事は「米軍と日本政府に対し、事故原因や対策が明らかになるまで飛行を再開させないことを求めるとともに、オスプレイの配備撤回を求めていく」と強調した。13日、県庁で報道陣の取材に応じた。
 玉城知事は詳細な事故原因が明らかになっていないことについて「当然納得できない。日本政府としては、もう少し国民に対して丁寧な説明を行いたいと(米側に)申し入れて、不安を払拭するための方法を取るべきではなかったか」と疑問を呈した。
 玉城知事は「『危険極まりない欠陥機』とやゆされるオスプレイの配備は即時撤回すべきだということを、これからも要求し続けていく」と述べた。
 (梅田正覚)