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過半数「維持」か「奪取」か 与野党、議席増へ活発化 6・16沖縄県議選まで3カ月 定数48に68人出馬予定


過半数「維持」か「奪取」か 与野党、議席増へ活発化 6・16沖縄県議選まで3カ月 定数48に68人出馬予定
この記事を書いた人 Avatar photo 佐野 真慈

 6月16日の県議会(定数48)議員選挙の投開票日まで3カ月となった。15日現在、立候補予定・検討者は68人。与野党中立それぞれの立候補予定者らは事務所を開くなど、議席増へ動きを活発化させている。与党は「オール沖縄」勢力の枠組みを生かし、県内全選挙区に立候補予定者を擁立した。野党の自民は国政同様、公明と連携して最大目標の県政奪還へ闘志を燃やす。中立の維新も議席上積みを目指す。

 玉城デニー県政が2018年に発足して以来、県議会は与党多数が続く。最大争点の辺野古新基地問題を巡り県と国の対立が激しさを増す中、県議会の勢力構成は知事の求心力や辺野古問題の対応に影響が出ることも予想され、与野党構成が変わるかが焦点になる。

 「安定した県政運営のためにも力を合わせて過半数を取っていただきたい」。2月11日、那覇市内。知事後援会による県議選「全体会議」で玉城知事はこう訴えかけた。県内全13選挙区30人の立候補予定者に「玉城デニー」名のため書きを配った。

「全体会議」を終え、関係者らと言葉を交わす玉城デニー知事(左端)=2月11日、那覇市内
「全体会議」を終え、関係者らと言葉を交わす玉城デニー知事(左端)=2月11日、那覇市内

 与党は前回同様、共産、立民、社民、社大の公認や、無所属など立場の違いを超えた「オール沖縄」で過半数死守を誓う。候補者が競合する選挙区を除いて政党や会派で相互推薦を出し合う。

 だが、政党間調整が整わない選挙区も複数ある。オール沖縄幹部は「県政を支えることより党勢拡大に重きを置いてしまっている側面がある」と明かす。選挙まで3カ月となり「もう時間はない。調整は難しいだろう」と吐露した。

 競合が最も激しいのが那覇市だ。定数11に対して与党候補者は7人。中でも党籍を持つ現職の公認申請に応じず、新人を公認した社大の対応を巡ってはオール沖縄内部からも疑問が上がる。与党県議は「1議席の重みを理解しているのか疑問だ」と述べ、候補者を党内で調整すべきとの見方を示した。

 一方の野党・自民。2日、那覇市内で開いた「陽春の集い」で仲田弘毅県連会長は駆け付けた支持者らを前に「必ず過半数を取り、玉城県政をねじれに持ち込む」と気勢を上げた。

ガンバロー三唱で県議会の過半数奪取を誓う自民党の公認・推薦立候補予定者ら=2日、那覇市内
ガンバロー三唱で県議会の過半数奪取を誓う自民党の公認・推薦立候補予定者ら=2日、那覇市内

 ある自民県議は過半奪取へ「風を感じる」と語る。辺野古新基地の代執行訴訟での県敗訴に伴い、大浦湾側の工事が進む現状を踏まえ「県は工事阻止の手段を示せていない。反対一本やりに票は集まらない。われわれに追い風だ」と自信をのぞかせる。

 だが強気な言葉とは裏腹に公認候補擁立の姿勢には慎重さもみえる。県内13選挙区の公認候補は20人。那覇市区で推薦した新人2人を加えても22人と単独過半数に届かない。4選挙区で新人を公認しているが、名護市区とうるま市区、島尻・南城市区の3選挙区は現職引退に伴う後継候補で、実質的には中頭郡区の1人にとどまる。

 別の自民県議は「友党の公明との連携で1議席上回れば勝ちだ」と強調した上で「まず現職の議席を守ることが大前提。われわれは組織で戦う。新人がやすやすと出てこられるものでもない」と話す。一方で党本部の裏金問題にも言及し「影響がないとは言えない。慎重にならざる得ない」とも語った。

 中立の公明や維新も議席増へ戦略を練る。公明は、前回選挙で擁立を見送った那覇市区、浦添市区でそれぞれ新人2人を公認するなど、現有2議席からの倍増を狙う。

 維新は県内の第三極を狙い、公募するなどして全選挙区で公認候補擁立を目指す。すでに那覇市・南部離島区や浦添、糸満の立候補予定者に公認を出した。

 (佐野真慈)