有料

裏金議員80人規模処分へ 来月にも 「除名」「離党」は見送り


裏金議員80人規模処分へ 来月にも 「除名」「離党」は見送り 自民党の裏金関係議員への処分案
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 自民党は派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、安倍、二階両派の議員計80人規模を4月上旬にも一斉処分する方向で調整に入った。党が定める処分で最も重い「除名」と、それに次ぐ「離党勧告」は見送る。岸田文雄首相(党総裁)は役員会で政治資金収支報告書への不記載額や役職歴、説明責任の果たし方などを踏まえると言明。派閥幹部には厳正に対応する方針で、「党員資格停止」や「選挙での非公認」を科す案が浮上している。複数の関係者が18日、明らかにした。
 2005年の郵政民営化関連法案に反対した50人を上回る異例の大量処分となる。首相は17日の党大会で処分に関し「厳しく対応する」と明言したものの、郵政造反組に下した除名、離党勧告といった厳重処分は回避する見通し。党内融和を優先しつつ、4月28日投開票の衆院3補欠選挙を見据えて事件の幕引きを図る狙いとみられる。
 最終的な処分の対象者、内容は首相や茂木敏充幹事長ら執行部が判断する。不記載額が少なかった中堅・若手議員は党の役職停止や戒告とする公算が大きい。
 茂木氏は18日の記者会見で処分について「できるだけ早期を考えている。(内容が)一律にということにはならない」と述べた。党則に基づき、近く、処分を審査する党紀委員会の開催を求める。処分の時期は、29日を想定する24年度予算の月内成立後から、首相が訪米予定の4月9日より前の間を見込む。
 裏金事件を受けた党の聞き取り調査では、解散方針を決めた安倍、二階両派の85人が派閥パーティー収入の還流を受けたことが判明。内訳は現職82人、選挙区支部長3人で、安倍派の「5人組」や二階派の二階俊博元幹事長らが含まれる。
 首相は18日の参院予算委員会で、関係議員を処分する前の衆院解散は考えていないと強調した。6月までの通常国会中に処分するとした。「信頼回復のため、党として政治責任のけじめをつける」と語った。具体的な時期については「関係者がかなりの人数に及ぶこともある。できるだけ早期に判断したい」と述べるにとどめた。
 17日の党大会では、4月の衆院3補欠選挙への危機感も表明した。今後新たに政治資金事件に関係した議員処分を厳格化する党則改正と、24年運動方針も決定した。