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計画ありきに怒り 住民視点 完全に欠落


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 陸自訓練場整備の断念を求める市民集会には1200人超が参加した。国防という「大義」を前面に、住民生活への影響は意に介さない整備計画に、草の根の反対の声は、大きなうねりとなって政府に計画の撤回を迫っている。
 決議は「住民の視点を完全に欠落させたあまりにもずさんな計画」と指摘した。予定地は住宅地や青少年の家に近接し、訓練の内容をどう変更したとしても生活への影響は必至だ。
 政府は計画を地元につまびらかにせず、整備関係予算案を閣議決定した。つまりはそのような手順で整備可能との目算があったはずだ。沖縄を軽視する政府のごう慢さを県民は感じ取っている。
 反発を受けて見直しを進める防衛省は、取得後の土地の利用の在り方について再検討している。
 しかし、住民が求めているのは条件闘争ではない。平穏な生活の維持だ。時間が経過すれば抗議が沈静化すると考えるなら浅はかだ。ここまで不信感が高まった以上、整備を強行すれば、地域と自衛隊の間に断裂が生じるのは明白だ。防衛省は早期に計画の白紙撤回を決定し、なぜこのような事態に陥ったのか、反省と検証を含めて公表する必要がある。 
  (沖田有吾)