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日米比で対中連携 外交青書原案 来月、閣議報告


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 外務省がまとめた2024年版外交青書の原案が21日、判明した。南シナ海での中国の力による一方的な現状変更の試みに触れ、日本、米国、フィリピンの3カ国連携を強化する重要性を明記した。北朝鮮による日本人拉致問題については「時間的制約があり、ひとときもゆるがせにできない人道問題」として、早期の解決や進展を目指す姿勢を鮮明にした。
 日米比3カ国は中国をにらみ、関係を深めている。米国で4月11日に初の首脳会談を開催し、安全保障や経済などの分野で協力強化を確認する。
 原案は、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を受けた中国の輸入規制措置について「科学的根拠がない」として措置の即時撤廃を促した。台湾海峡情勢について「平和と安定は国際社会にとって重要だ」と強調した。
 北朝鮮に対し「核・弾道ミサイル計画の完全な廃棄」を要求。ロシアから北朝鮮に対する軍事支援の可能性を「懸念を持って注視している」とした。
 関係改善が進む韓国は「国際社会のさまざまな課題への対応に協力していくべき重要な隣国だ」と位置付けた。韓国最高裁が元徴用工訴訟で賠償の支払いを命じた判決は「断じて受け入れられない」との立場を示した。
 国連を中心とする多国間枠組みが困難に直面する中、先進7カ国(G7)、日米豪印、日米韓など「連携の重要性は相対的に増している」と指摘。「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国をひとくくりにせず、要望に応じた対応が大切だとした。
 女性が主導的役割を果たす「女性・平和・安全保障(WPS)」を主要外交政策として推進する方針も盛り込んだ。外交青書は4月に閣議報告される見通し。