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地震当日 出勤20~60% 能登の自治体、初動に影響


地震当日 出勤20~60% 能登の自治体、初動に影響 能登半島地震で被害が大きい6市町の初日の職員出勤率
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 能登半島地震が発生した1月1日当日、被災自治体で出勤した職員の全職員に対する割合は石川県珠洲市で20%、輪島、七尾両市が39%にとどまることが23日、被害が大きい6市町への共同通信の調査で分かった。穴水町は38%、能登町54%、志賀町が62%。家族の被災、道路寸断などの事情により、庁舎に行けなかった職員が多数いた。
 連絡手段がなく、数日経過して出勤した職員もおり、輪島市の坂口茂市長も市役所への登庁が3日にずれ込んだ。1995年の阪神大震災、2016年の熊本地震より出勤率が低い自治体が多く、通常より少ない人数で初動対応を強いられた。
 元日に起きた能登半島地震だけでなく、近年の地震災害は夜間や週末の発生が多い。各地の自治体は参集体制の見直しなどを迫られそうだ。
 能登半島地震は午後4時10分に発生。調査は、1月1日のうちに庁舎などに出勤した正規職員の全正規職員に占める割合を計算した。出勤人数は時間外手当の申請や勤怠管理システムなどから6市町が算出した。
 6市町の地域防災計画では、震度5弱~5強の地震で職員全員が出勤することになっている。
 しかし、道路の寸断や集落孤立で出勤できず、安否が分からない幹部や職員が多数続出。輪島市によると、坂口市長も1月3日に自衛隊のヘリで移動し、登庁した。
 大津波警報の発表により、海に近い庁舎に向かうのを見合わせた職員や、庁舎に行けないので自宅近くの避難所で対応に当たった職員もいた。
 能登半島地震の発生当日、登庁した職員は、住民からの通報や、庁舎に避難してきた人たちの対応に追われた。輪島市災害対策本部の一本松泰明さんは「避難所に物資を運び、情報収集する人数がとにかく足らなかった」と振り返った。