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国債の利払い膨張も 日銀マイナス金利解除 政策支障恐れ、歳出改革急務


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 日銀がマイナス金利政策を解除したことで、政府の財政運営は転換点に立った。日銀が今後利上げを続ければ、国の借金に当たる国債の利払い費が膨らむ可能性がある。借金の返済や利払いに充てる国債費は現状でも過去最大で、これ以上増加すれば、政策向けの経費を圧迫し、企業成長や国民生活を支援するための政府の取り組みに支障が出る恐れもある。歳出構造の改革が急務だ。
 日銀は19日、大規模な金融緩和策の柱であるマイナス金利政策の解除を決めた。政策金利を0~0・1%程度に誘導し、長期金利を低く抑えるための長短金利操作も撤廃した。日銀は2022年末から長期金利に対する政策を変更しており、既に償還期間10年の国債の金利は上昇傾向にある。
 今後、短期金利の引き上げに関連して長期金利がさらに上がれば、新規発行する国債の金利は、低金利時に発行した国債の金利より高い利率が設定され、政府が投資家に支払う利子は増える。
 政府が1月26日に国会に提出した24年度予算案では、国債の想定金利を23年度の1・1%から1・9%に17年ぶりに引き上げた。23年末までの日銀の政策変更による金利上昇のリスクを反映した結果で、利払い費は23年度当初予算と比べ約1兆2千億円増えた。
 財務省によると、27年度には利払い費が15兆3千億円に達し、24年度予算案と比べて5兆6千億円増える見通し。利払い費増に伴い、国債費は27年度に34兆2千億円に膨張する。
 加えて、防衛費や社会保障費などの歳出も増える見込みで、税収で賄いきれず国債発行に依存する財政構造は続く可能性がある。
 鈴木俊一財務相は22日、日銀の政策変更による金利上昇で「政策的経費が圧迫される恐れがある」と指摘。「重要政策の安定財源の確保などを重ねていく必要がある」と警鐘を鳴らした。