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合理的配慮 企業に義務化 障がい者 社会参加しやすく 改正差別解消法、来月施行


合理的配慮 企業に義務化 障がい者 社会参加しやすく 改正差別解消法、来月施行 合理的配慮のイメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 障害者の希望に合わせて困りごとに対応する「合理的配慮」が4月1日から企業など民間事業者に義務付けられる。改正障害者差別解消法が施行される。これまで国や自治体に義務付けていた配慮を民間へ拡大し、障害者が参加しやすい社会の実現を促す。車いす利用者の移動をサポートしたり、聴覚障害者と筆談でやりとりしたりすることが想定される。希望に応じきれない場合にどう解決するかが課題となる。
 事業者側は過重な負担にならない範囲で対応し、「特別扱いはできない」と一律に拒むことは認められず「建設的対話」で合意点を探ることが求められる。例えば、スーパーを訪れた視覚障害者から売り場の案内を求められた場合、混んでいて人手が足りず案内できないと拒むのではなく、話し合った上で、希望の商品を聞き取って渡したり、案内できる時間帯を伝えたりといった代替策が必要となる。
 国が策定した対応指針では、障害の特性に応じて(1)高い所にある商品や資料を取って渡す(2)段差を携帯スロープで解消する―などを挙げた。
 義務違反の具体例も提示。試験会場で筆記が困難な人からデジタル機器を使いたいと求められたのに、前例がないとの理由で全く対応しない場合は違反になるとした。
 合理的配慮の範囲は「本来の業務に付随するものに限られる」と指摘。電車やバスなど公共交通の事業者が、業務と無関係に公道での移動介助や、食料品購入などを依頼された場合は断っても違反にならないとした。
 違反かどうかの線引きは曖昧で企業が戸惑う要因となっている。話し合いで解決できない事例も増える見通し。その場合、自治体や関係省庁が事実確認し調整する。