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DV被害男性の支援進まず シェルター確保は11道府県


DV被害男性の支援進まず シェルター確保は11道府県 支援体制の違い(男性用、女性用)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 ドメスティックバイオレンス(DV)の男性被害相談が近年急増する中、被害者を一時保護する男性用のシェルターを確保している自治体が47都道府県のうち11道府県にとどまることが24日、共同通信のアンケートで分かった。被害者の保護強化をうたう改正DV防止法が4月1日に施行されるが、行政による男性への支援が進まず、男女間で差が残る実態が浮き彫りとなった。 (19面に関連)
 厚生労働省によると、女性用シェルターは、一時保護所の役割も担う公営の「婦人相談所」(4月1日に女性相談支援センターに名称変更)が全47都道府県に設置されているほか、民間に委託されたシェルターも多数ある。
 これに対し、調査結果によると、男性用の公営シェルターを設置している都道府県はゼロだった。自治体が民間に委託するなどして確保している男性用シェルターが「ある」と答えたのは北海道や宮城、京都、熊本など11道府県。沖縄はなし。東京都は「非公表」と回答した。
 男性用シェルターを確保していない自治体は、要望があった場合の対応として「市町村の緊急一時避難制度等、他に使える制度があれば案内する」(千葉)「性別に関係なく一時保護ができる体制を検討している」(三重)などと回答した。
 相談窓口に関しては「DVに特化した男性専用窓口がある」としたのは神奈川や福井など7道県で、DVに限らない総合窓口も含め、男性専用窓口を設けていないのは17府県だった。沖縄はDVに限らない男性専用の窓口を設けている。
 4月の改正DV防止法施行に伴い、殴る蹴るなどの「身体的DV」だけでなく、言葉や態度で追い詰める「精神的DV」も保護命令の対象に拡大され、被害を認識する男性の増加が予想される。法改正を受け、男性被害者への対応を変えるかとの質問には、和歌山が「基本計画に男性被害者も対象であることを明記する」とした。一方、大半は「検討中」や「考えていない」と答えた。
 警察庁によると、警察へのDV相談件数は2022年、8万4496件で、うち男性の相談は3割近い2万2714件に上り過去最多だった。
 男性の相談件数はここ10年で約9・6倍になった。調査は昨年11~12月に実施し、全47都道府県から回答を得た。