有料

避難指示前の課題抽出


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 沖縄経済同友会が有事の際の事業継続などについてまとめた県への提言は、国民保護法に基づく住民避難指示は国による事態認定を前提とするが、実際は事態認定に至らないグレーゾーンの状態が続く可能性が高いことなど課題を抽出した。
 提言では、避難指示を出せないグレーゾーンの段階から事業者の想定される役割を周知することや、事態認定が遅れれば住民や事業者に被害の恐れがあることから国に対して迅速な決断を促すことなどを提案した。指示が出る前の避難は国の予算ではなく自治体や事業者の支出になるため、先んじて住民保護をしようにも予算的な制約がかかる可能性があるため、グレーゾーン段階での保護に関する予算確保や事後の補填(ほてん)対応も提言した。
 従業員の安全確保について、事業者ごとに「安全」の基準が異なり、計画通りに避難できない恐れがあるとして、国や自治体主導で有事の際の安全について一定の基準を設けることを提案した。
 その他、事業者視点を交えた訓練などの実施、事業者の社内規定に有事対応を盛り込むことの周知と推進、指定公共機関の役割の具体化と必要な設備の援助、指定公共機関の定期的な見直し、非常時の電源確保、要配慮者や避難を望まない者への対応、シェルターなど強固な地下施設の拡充、空港・港湾設備の拡充、自衛隊や海保を含めた多角的な連携を提言した。 (沖田有吾)