衆院補選、島根１区注目　自民　他２区独自候補断念

　岸田文雄首相の政権運営を左右する衆院３補欠選挙は４月２８日の投開票まで１カ月となった。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件など「政治とカネ」問題で批判が吹き荒れる中、自民は東京１５区、長崎３区で独自候補擁立を断念する方向。与野党対決が見込まれる島根１区に注目が集まるが、自民は苦戦が避けられない情勢だ。立憲民主党は共産党と候補を一本化しており、裏金事件を争点に攻勢をかける。
　補選が実施される三つの選挙区は、「政治とカネ」や世界平和統一家庭連合（旧統一教会）との関係といった自民が抱える問題が絡んでいる。
　島根１区補選は、自民の細田博之前衆院議長の死去に伴う。細田氏は裏金事件で批判を浴びる清和政策研究会（現安倍派）の会長経験者。旧統一教会との関係を問題視された経緯もある。自民は前中国財務局長の新人錦織功政氏を擁立。党職員を現地に派遣し、企業・団体の引き締めに躍起だ。知名度の高い石破茂元幹事長らを投入する。
　立民は「保守王国」島根での議席獲得を目指す。共産は立民の元職亀井亜紀子氏の自主的支援を決定。泉健太代表も近く島根入りする考えだ。自民筋は「裏金事件の逆風に加え、共産票が亀井氏に乗る。状況は厳しくなった」と頭を抱える。
　東京１５区補選は公選法違反事件で有罪が確定した柿沢未途前議員＝自民離党＝の辞職を受け実施。自民は小池百合子東京都知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」との連携を視野に、無所属候補への相乗りを検討する。立民も選定が難航している。
　裏金事件で有罪が確定した谷川弥一前議員＝自民離党＝の辞職に伴う長崎３区補選は、比例代表選出の立民現職山田勝彦氏と、維新の新人井上翔一朗氏が出る。