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地元同意ないまま準備先行 東電 再稼働急ぐ思惑透ける


地元同意ないまま準備先行 東電 再稼働急ぐ思惑透ける 柏崎刈羽原発 再稼働までの流れ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 東京電力柏崎刈羽原発7号機(新潟県)の原子炉に約7年半ぶりに核燃料が装塡(そうてん)される。他の原発では再稼働への地元同意を得た上で、原子炉起動直前に行う作業だが、東電は同意を得ておらず、起動時期も「未定」としたまま。できる準備は全て済ませ、同意後は速やかに再稼働したいとの東電の思惑が透ける。
 7号機は福島第1原発事故後の2011年8月に停止。16年10月に原子炉から872体の燃料を取り出し、プールで保管している。
 現在は機器や設備の性能を最終確認する使用前検査中で、装塡前の東電側の作業はすべて終了。原子力規制委員会が確認し、問題がなければ装塡を始められる。
 装塡には半月ほどかかる見通しで、その後は原子炉圧力容器の気密性や、核分裂を止める制御棒の挿入機能を検査。合格すれば制御棒を引き抜いて原子炉を起動できる状態になる。
 新潟県の花角英世知事の同意見通しは立っておらず、装塡から再稼働まで時間が空くとみられるが、柏崎刈羽原発の稲垣武之所長は会見で「燃料がプールに入っていても原子炉に入っていても、リスク評価に大きな差異はない」と説明。一方で電力関係者からは「急いでいるのか、すごく違和感がある」との声も漏れる。
 国も動きを加速させる。斎藤健経済産業相は今月、花角氏に同意を要請。同省幹部を県などに派遣し「エネルギー政策を実行するために欠かせない」と理解を求めた。
 地元自治体が策定する事故時の避難計画も再稼働の前提となるが、1月の能登半島地震では北陸電力志賀原発(石川県)周辺の避難道路が寸断され、建物倒壊が相次いだ。
 花角氏は国の対応を見極める姿勢を示唆しており、判断材料が出そろうまでさらに時間がかかりそうだ。