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6月解散判断へ難路 野党、来月補選攻勢


6月解散判断へ難路 野党、来月補選攻勢 参院予算委で答弁する岸田首相=28日午後
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 2024年度予算が28日成立した。岸田文雄首相は、賃上げの実績とデフレ完全脱却への意欲を掲げ、6月の国会会期末に合わせた衆院解散を見据える。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で関係議員処分に来週踏み切り、政権立て直しを図る。だが逆風は収束しそうになく、解散判断には難路が待ち受ける。立憲民主党は4月の衆院3補欠選挙に向け裏金問題で攻勢をかける。衆院選を念頭に日本維新の会などと野党連携を狙う。
 首相は28日の参院予算委員会で野党から衆院解散を迫られ「全く考えていない」とかわした。予算成立後の記者会見では国民への二つの約束として「今年、物価上昇を上回る所得を必ず実現する。来年以降に物価上昇を上回る賃上げを必ず定着させる」と明言。政権継続に意欲をにじませた。
 派閥裏金問題で首相は、22年8月に資金還流の復活を止めなかった安倍派幹部の責任を重くみて、厳正処分を科す構えだ。首相自身の処分の有無も焦点となる。会見で、政治資金規正法改正に「本格的に取り組む」と表明した。
 衆院3補選は来月16日告示、28日に投開票され、政権運営の試金石となる。自民は東京15区、長崎3区で独自候補を断念し、島根1区の与野党対決に注力する。ゼロ勝に終われば党内で「岸田降ろし」が顕在化する可能性がある。
 首相は来月8~14日ごろ国賓待遇で訪米し、日米首脳会談に臨む。賃上げの実績をアピール、6月の1人4万円定額減税と合わせ、衆院解散の環境を整えたい考えだ。
 一方、公明党の山口那津男代表は27日の講演で「信頼回復のトレンドを確認できるまでは解散すべきでない」と早期解散にくぎを刺した。
 野党は裏金問題を争点化し、岸田首相の下で衆院解散に追い込みたい考えだ。立民は候補者調整を含め野党協力の構築を探る。維新は与党過半数割れへ意気込む。