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「住民の命守れず」「実情沿った計画」 離島反応さまざま


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【宮古・八重山】政府が29日、「台湾有事」を念頭に宮古・八重山に優先的にシェルター整備を進める基本方針を打ち出したことについて、住民からは「戦争の準備をするな」と反発の声が上がった。一方「先島の実情に沿った計画が進む」との意見もある。
 「なぜ、戦争を望むようなことをするのか」。与那国町の後間正輝さん(75)は有事ありきで進める国や町の姿勢を批判した。「訳が分からん」と繰り返し「世の中にはご飯も食べられない人がいる。もっと他のことに予算を使うべきだ」とくぎを刺した。
 八重山防衛協会の山森陽平事務局長(46)は「賛成」と歓迎した。「全国の先例になり意義がある」との考えも示した。
 「やっと政府が先島の実情に沿った計画を進める。ありがたい」と語るのは沖縄の領土領海を守る会の中村靖会長(50)=宮古島市。シェルター整備を政府に要請しており「空港、港湾などは最初の攻撃目標になるので、有事では住民避難は難しい場合がある。整備は早急に進めるべきだ」と強調した。
 ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会の上里清美共同代表(68)は「シェルターで住民の命は守れない。紛争になると短期間では終わらない。現実的ではない」と指摘する。「戦争を前提とした備えはいらない。その予算を使って市内の自衛隊施設を撤去することで、攻撃されるリスクを減らせる」と訴えた。 (照屋大哲、友寄開)