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核攻撃の対応曖昧


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府が武力攻撃事態を想定して整備する新たな避難施設「シェルター」について、宮古・八重山の5市町村に整備する基本方針を公表した。構造や設備など具体的な仕様指針も示した。
 2022年12月に決定した「国家安全保障戦略」など安保関連3文書で明記されている国民保護法に基づく措置だが、核攻撃への対応について方針の公表に至るまでに変遷があるなど、仕様の想定するものには疑問も拭えない。
 政府は「国民保護」の取り組みの一環だとして、収容対象者は有事の際に逃げ遅れた住民や避難誘導に従事する行政職員を想定。整備に当たる要件で、国と県による「国民保護訓練の実施」を挙げ、島外避難が前提となった緊急避難のための施設という位置づけだ。内閣官房幹部も「避難施設で守るというのではなく、避難をさせるというのが主だ」と強調する。
 内閣官房はシェルターの「仕様指針」で、当初は明記していた核兵器による攻撃の可能性を否定する文言を削除した。与党側からの意見で対応を迫られ変更した形だ。ただ、実際のシェルターの仕様は、核攻撃に「対応していない」。曖昧な「仕様指針」の公表では住民の安心につながるどころか、不安を招きかねない。 (安里洋輔)