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コロナ対応基金存続へ 中小企業庁、審査厳格化


コロナ対応基金存続へ 中小企業庁、審査厳格化 中小企業等事業再構築促進基金の概要
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 中小企業庁が、新型コロナウイルス禍に苦しむ中小企業支援を目的に設置した基金を2024年度以降も存続させることが31日、複数の政府関係者への取材で分かった。23年11月、国の予算執行の無駄を外部の有識者がチェックした行政事業レビューは「役割は終わりつつある」として「廃止か抜本的な再構築」を提言したが、廃止は受け入れず、基金からの支出が妥当かどうかの審査厳格化にとどめる。
 基金は、予算を毎年度組まなくても複数年度分の資金をまとめて確保できる利点がある一方、資金が過大に積み上がって、支出につながりやすい。コロナ禍や物価高への対応で基金の規模は膨らんだ。河野太郎行政改革担当相が主導した提言に反する中小企業庁の方針は、獲得した予算は手放さないという中央省庁の姿勢を示している。
 中小企業庁が存続させるのは、20年度に設置した「中小企業等事業再構築促進基金」。20年度第3次補正予算、21年度補正予算、22年度予備費、22年度第2次補正予算から総額2兆4千億円程度を積み立て、23年9月末までに計7万6224社に合計1兆8400億円程度が渡り、5600億円程度が残っている。
 コロナ禍で立ち行かなくなった事業から新事業への転換を図る中小企業支援が狙いだったが、実際は似通った事業計画に補助金を出すケースが目立った。全く同じ内容の販売店計画を援助したこともあり、財務省も問題視していた。
 関係者によると、中小企業庁は行政改革推進本部事務局に、成長が見込める分野への参入や日本経済の構造転換につながる事業に支援先を限定すると説明。26年9月末まで申請を受け付ける方針という。