在日米軍が保有する有害なポリ塩化ビフェニール(PCB)廃棄物を巡り、米軍キャンプ・シュワブ内で3月に見つかったPCB含有の蛍光灯用安定器約280キロがすべて海外製であることが沖縄防衛局への取材で4日分かった。
海外製は日本の処理計画に入っておらず、政府内では米本国への持ち帰りを求める方針もあるが見通しは立っていない。処分方針が決まるまでは同基地内で保管となり、長期間になれば周辺土壌への影響なども懸念される。
国内に5カ所ある高濃度PCB廃棄物処理施設のうち、これまで在沖米軍分を受け入れてきた北九州市の事業所を含む西日本の3施設が3月末で事業終了。4月以降は西日本分を北海道の室蘭市で処理するよう計画しているが、米軍分については反発が大きく、環境省が道や市への持ち込みを否定している。
防衛省も室蘭市への搬入については「想定していない」としている。本紙は在日米軍司令部(東京)に今後の処理方針などを問い合わせたが回答はなかった。
保管の長期化が懸念されることについて桜井国俊沖縄大学名誉教授(環境学)は、過去に漏出した事例に触れ「きちんと管理していないと恐ろしいことになる」と強調する。その上で、「日本政府は汚染者負担の原則に従い米軍に責任をきちんと取らせるべきだ」と語った。
県内では、キャンプ瑞慶覧(フォスター)でもPCB廃棄物の可能性があるものが見つかっている。沖縄防衛局によると、専門業者に仕分け作業を依頼中で、判明時期については「回答は困難だ」とした。
(新垣若菜)