過疎地などに移住して活性化に取り組む「地域おこし協力隊」は、2023年度の隊員数が前年度より753人増え、過去最多の7200人だった。新型コロナウイルス禍が落ち着いても、地方移住への関心の高まりが続いているほか、制度の知名度向上が追い風となった。任期を終えた隊員の64・9%は赴任先か周辺に定住し、人口減少の抑制に貢献している。総務省が5日発表した。
総務省は24年度、受け入れ自治体の拡大を狙い、効果的な募集方法などを伝えるアドバイザーを増員する。26年度までに隊員1万人との目標達成には、活動先を増やす必要があると判断した。地域になじめず途中退任する隊員を減らすため、悩み相談などのサポートも強化する。
松本剛明総務相は記者会見で「地域活性化と移住促進の両面で効果が出ている。(途中退任など)課題の対応にもしっかり取り組んでいきたい」と述べた。
協力隊は各自治体が募集し、隊員は一定期間、特産品開発などに携わる。7200人の赴任先は15道県と1149市町村の計1164自治体となり、前年度より48増えた。
都道府県別の活動人数は北海道が1084人で最も多く、長野461人、福島313人、熊本302人、新潟287人と続いた。沖縄は73人。
任期を終えた隊員は、22年度までの累計で1万1123人。うち64・9%に当たる7214人が赴任先か近隣の市町村に定住した。
赴任先に定住した5779人の動向を追うと、43・2%の2497人が起業していた。古民家カフェなど飲食サービス業が多い。36・8%の2129人は自治体や宿泊施設、農業法人などに就職した。
地域おこし協力隊 人口減少や高齢化が進む地域に移り住み、住民の生活支援、観光客誘致のための情報発信、農林水産業などに従事する。任期は1~3年程度。受け入れた自治体には総務省の財政支援があり、2024年度からは隊員1人当たりの上限額が480万円から520万円に引き上げられた。隊員の報酬や活動経費に充てられる。隊員が起業や事業承継をした場合、追加支援する仕組みもある。
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地域おこし隊 最多7200人 23年度全国 移住への関心続く 北海道1084人、沖縄は73人
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琉球新報朝刊