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共同親権法案「命に関わる」 国会審議 遮蔽越し DV被害者訴え


共同親権法案「命に関わる」 国会審議 遮蔽越し DV被害者訴え 異例の遮蔽措置が取られ行われた衆院法務委の参考人質疑=3日午前
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 離婚後の共同親権の導入を柱とする民法改正案について、3日、衆院法務委員会の審議で参考人質疑が行われた。夫からドメスティックバイオレンス(DV)被害に遭い、住所を秘匿して子どもと暮らす女性が登壇。議場では異例の遮蔽(しゃへい)措置が取られた。女性は「当事者の思いを伝えなければ」と声を上げ、「法案には子どもや私たちの命がかかっている」と訴えた。
 衆院の法務委員会室。女性の周囲にはすりガラスの遮蔽板が立てられ、かすかにシルエットが分かる状態だった。機械を通して変えた女性の声は震えていた。「もし身元がばれたら、私と子どもは転居しないといけない。この場に立つのは、本当はとても怖いです」
 女性は委員会で、日頃からささいなことで罵倒され、物を投げられ、性行為を強要されたと打ち明けた。妊娠し、子どもに障害があると分かると「おまえのせいだ」となじられた。里帰り出産のまま別居を続け、離婚できていない。
 改正案では、離婚後に父母が合意できなければ家裁が単独親権か、共同親権かを決定する。家裁の判断時には「DVや虐待の恐れ」を考慮するとの規定があるが、女性は強い不安を抱く。
 夫が子どもへの面会交流調停を申し立てた際、家裁に対してDVがあったことを訴えても、医師の「障害を考慮し面会は控えるべきだ」との意見を提出しても、考慮されなかったからだ。「共同親権が導入されたら、また裁判が起こされ、精神的にも肉体的にも追い込まれる」と語った。恐怖心から国会までは顔を隠しながら移動した。それでも語ろうと思ったのは「被害当事者は隠れて暮らしていて声すら上げられないから」。涙声で訴えた。「法案には子どもたち、私たちの命がかかっています。もっともっと、慎重に議論してください」