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「周辺環境に影響なし」 防衛相 PCB長期保管否定


「周辺環境に影響なし」 防衛相 PCB長期保管否定 閣議後会見に臨む木原稔防衛相=9日、国会内
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【東京】人体に有害なポリ塩化ビフェニール(PCB)廃棄物を巡り、米国防総省が過去に在日米軍施設内での長期保管の危険性を指摘していたことについて、木原稔防衛相は9日の閣議後会見で見解と対応を問われ「保管庫で密封した容器に保管するなど飛散や流出を防止する措置を講じている。周辺環境に影響を与えるものではない」と答えた。一方、国防総省の指摘は保管容器の劣化に触れ、流出する危険性があることに懸念を示していた。
 防衛省は基地内での保管について「一時的なもので、長期的な保管は想定していない」と説明した。
 現在の飛散・流出防止措置について、防衛省の茂木陽報道官は9日、何年の保管に耐えられるのか問われたが「環境省で適切な処理方法が確立されるまでの一時的なもので、そもそも長期的な保管は想定していない」として明言しなかった。その上で、密封した頑丈な容器で保管するとし「定期的に沖縄防衛局職員が容器の状況を確認し、必要な場合には容器を新しいものに交換する」と強調した。
 米国防総省内の組織、国防兵たん局(DLA)は2002~13年に長期保管の危険性を指摘した文書で「保管容器は時間の経過で劣化する。容器を監視し、漏れの疑いがある場合に詰め直す担当者がPCBにさらされる可能性が高くなる」「(PCB含有機器を取り扱うたびに)流出や暴露の機会が生まれる」などと記している。
 米軍は一時期、米本国に廃棄物を持ち帰っていたが、現在は基地内に残している。防衛省は処分方法が決まるまで各基地内で保管する方針を示している。
  (明真南斗)