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プライバシー侵害恐れ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 新法案「重要経済安保情報保護・活用法案」の目玉「セキュリティー・クリアランス(適性評価)」制度は、国が民間の研究者や企業の従業員の身辺を調査することになる。対象は犯罪歴や薬物使用の有無に始まり、精神疾患や飲酒の節度、借金など幅広く個人の生活の機微に触れ、プライバシー侵害の恐れが拭えない。
 調査項目は家族の国籍にも及ぶ。「本人の同意が前提」としているが、職場の上司らが協力を求められるケースもあり得る。調査対象者は自身の職場での処遇を気にして調査を断ることが難しくなり、事実上の強制となる可能性も否定できない。
 調査で適性が認められなかったり、調査自体を拒んだりした従業員に対し、所属企業が不利益な扱いをした場合は「(政府は)契約を打ち切る」と強調するが、罰則規定はなく実効性に疑問が残る。
 新法案は情報の指定や調査の実施状況を国会が監視するよう修正された。だが既に施行されている特定秘密保護法では、国会の審査会が秘密の開示を求めても政府側が情報提供を拒む例が相次いでいる。