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憲法改正、自衛隊配備は? 沖縄県議選へ政党・会派が座談会 1/3


憲法改正、自衛隊配備は? 沖縄県議選へ政党・会派が座談会 1/3 沖縄県議会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 投開票まで約2カ月に迫った県議選に向け、琉球新報社が10日に開いた座談会では、県内政党・県議会会派の代表者が県政運営に対する考え方や米軍普天間飛行場移設に伴う辺野古新基地建設問題、自衛隊問題、経済などのさまざまな課題について議論を交わした。辺野古問題ではこれまでの知事選や国政選挙などと同様に与野党で見解が異なった。自衛隊問題では各党での立場の違いも見られた。県経済の自立や振興に向けた方策についてはものづくりなどの第1次産業発展を柱とするべきだとの意見が多くあった。

 (’24県議選取材班)
 (文中敬称略)


<意義と争点>

責任取らぬ玉城県政 島袋大氏
代執行には断固反対 鶴渕賢次

鶴渕 賢次氏

 ―県議選の意義と争点、取り組み方は。

 島袋 玉城県政2期目の中間評価だ。県議会は知事追認機関に成り下がった。責任を取ろうとしない玉城知事とそれを支える県政与党にノーを突き付けなければ県民の幸せはかなわない。

 鶴渕 戦争への危機を県民は一番感じている。国の代執行に断固ノーの審判を下して、玉城知事を支え、平和で豊かな沖縄をつくる。自公政治から県民の暮らしを守ると訴えていく。

 仲村 辺野古新基地建設反対の民意に立ち沖縄の自治と尊厳を守り抜く玉城知事への県民の揺るがない支持が与党勝利で必ず示される。玉城県政を発展させるため最大の力を尽くす。

 宮城 今物価高で疲弊している県民生活をどのように支援をしていくかを訴えたい。辺野古新基地建設の代執行訴訟について県議選での与党議席数をもって県民が持つ正義を体現したい。

 金城 基地問題に偏り過ぎた玉城県政は政府との信頼関係が地に落ちている。玉城県政を評価するか否かが焦点。県議選で自公が過半数を取り、2年後の県知事選の足掛かりとしたい。

 平良識 沖縄が軍事要塞化されようとしている状況に危機感を持っている。県議選は沖縄の未来を左右する大きなターニングポイント。沖縄の自治を開き、自己決定権確立を図っていく。

 山川 これまでの選挙は基地か経済かの争点で戦ってきたが、そうではなく基地も経済も解決する。古い中央集権の体質から地方分権へ移行する。議員報酬と議員定数削減を訴えたい。

 平良昭 玉城県政2期目の中間評価だというのは当然で、首里城復元や豚熱にコロナ、軽石、鳥インフル対策への評価が争点だ。辺野古問題も自衛隊配備問題も県民の大きな関心事項だ。


<憲法改正>

9条守り平和を堅持 仲村未央
時代変化合わせ加憲 金城勉氏

仲村 未央氏

 ―憲法や9条を改定し自衛隊の位置付けを明確にする議論への姿勢は。

 鶴渕 政府は自衛隊を、米国とともに他国を攻撃する軍隊に変えようとしている。玉城県政が進めるように、軍事力の強化ではなく周辺諸国との平和的な話し合いで解決するべきだ。

 仲村 憲法9条を守り抜く。日本国憲法が掲げる国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を堅持する。自衛隊は専守防衛に徹して、国民の生命財産、地域の平和と安定に貢献してほしい。

 宮城 政府は明確な定義が確立していない台湾有事という御旗を立て、軍事強化を進めている。私はこれをフィクションだと考える。このような中、政府に改憲を語る資格はない。

 金城 平和憲法として国民の間に定着した憲法を高く評価する。平和、人権、民主の三原則を堅持しながら、時代の変化に合わせた理念には権利を加える「加憲」の立場を取っている。

 平良識 平和憲法の改定は反対する。特に9条改定論には沖縄から声を上げなければならない。自衛隊は憲法に根ざし、災害救助の取り組みに特化して世界平和に貢献をするべきだ。

 山川 憲法9条は戦争放棄と平和主義を堅持した上で2項で自衛隊の保持を明記する。「自衛のため」「行政各部の一つとして」と条文に明記し特別な存在ではないと規定する。

 平良昭 9条改定の必要はない。平和憲法の基本を揺るがすものではないことを条件として、現代社会の生活ニーズに合わせた改定は多少必要になってくると理解している。

 島袋 党は憲法改正で自衛隊の明記、緊急事態対応、合区解消・地方公共団体、教育充実の4項目の条文イメージを掲げている。自衛隊は憲法に位置付けて、自衛隊違憲論を解消すべきだ。


<自衛隊配備>

軍備強化許されない 宮城一郎氏
住民の考えに配慮を 平良昭一氏

金城 勉氏

 ―県内の自衛隊配備状況について。うるま市石川の訓練場整備計画や、離島への自衛隊配備などで生活への影響を懸念する声も上がっている。

 仲村 二度と沖縄を戦場にしないと誓って戦後を生きてきた県民の歩みを、政府はもっと知るべきだ。基地被害の解決もなく地域との合意もましてや説明もない進め方はもってのほかだ。

 宮城 米軍との共同訓練などが盛んになり、嘉手納基地や敵基地攻撃能力をバックアップする機能が自衛隊に求められていると懸念する。沖縄へのこれ以上の軍備集中と強化は許されない。

 金城 日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増している状況を踏まえて、専守防衛の範囲で備えを強化することは理解する。同時に、外交による国際交流の推進も重要である。

 平良識 「軍隊は住民を守らない」が沖縄戦の教訓だ。沖縄全体が軍事強化を押し付けられている状況を、政治の立場から止めなければならない。島々への配備拡大に断固反対し、止める。

 山川 憲法9条の範囲内で自衛のための防衛力は持つべきだ。しかし、昨年の陸自与那国駐屯地へのミサイル部隊配備で政府予算が決定してから説明会をしたのは、県民軽視も甚だしい。

 平良昭 自衛隊の災害復旧支援などの活動は理解されている。しかし地域住民の理解を得ずに強行に配備計画を進めることは絶対にあってはならない。住民の考えを十分聞いて配慮するべきだ。

 島袋 今の安全保障環境では沖縄の15旅団の師団化など防衛力強化が必要だ。特定利用空港・港湾整備は、防災時の緊急対応など多面的な利活用の可能性もあるので政府に進ちょくを求めたい。

 鶴渕 安保3文書に基づく自衛隊の状況は、沖縄が戦場になることを想定している。絶対に認められない。米国防衛で再び捨て石にされるのではないかという思いを住民は持っている。


〈出席者〉

新垣 和也 政経グループ長

 島袋大氏(自民党県連幹事長)

 鶴渕賢次氏(共産党県委委員長代理)

 仲村未央氏(立憲民主党県連代表)

 宮城一郎氏(社民党県連幹事長)

 金城勉氏(公明党沖縄方面副本部長)

 平良識子氏(社大党中央執行委員)

 山川泰博氏(維新県総支部幹事長)

 平良昭一氏(おきなわ新風会派長)

 司会 新垣和也(琉球新報社政経グループ長)