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にじむ「軍事一体化」 日米首脳会談 基地周辺環境「協力」


にじむ「軍事一体化」 日米首脳会談 基地周辺環境「協力」 首脳会談で握手を交わす岸田首相(左)とバイデン大統領=10日、米ホワイトハウス
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 11日(日本時間)に発表された日米首脳共同声明では、沖縄を含む「南西諸島」での「同盟の戦力態勢の最適化」を明記した。日米安全保障条約に基づき、尖閣諸島での米国による防衛義務を示したほか、「台湾有事」を念頭にした中国の脅威も強調した。米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設推進も明記し、「南西シフト」を中心に米軍と自衛隊との一体化を進める日米の思惑がにじんだ。 (1面に関連)
 共同声明は「防衛・安全保障協力の強化」を冒頭の項目に盛り込み、「日米の抑止力・対処力を強化するため、南西諸島を含む地域における同盟の戦力態勢の最適化が進展している」と明記した。2022年12月に決定した安保関連3文書に基づく防衛強化を「歓迎する」とした。
 辺野古新基地建設については「普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策」と、従来の日本政府の方針を踏襲した。その上で「辺野古における普天間飛行場代替施設の建設を含め、沖縄統合計画に従った在日米軍再編の着実な実施に強くコミットしている」と強調した。
 共同声明に伴う合意文書では「環境問題に関する協力」として「環境に係る協力を含め、在日米軍の安定した駐留に関する二国間の継続的な連携の重要性を確認する」とも記した。政府関係者によると、在日米軍基地周辺で有害性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)が高濃度で相次いで検出され、人体に有害なポリ塩化ビフェニール(PCB)が日本各地の米軍基地に残存している問題を念頭にしているという。 (嘉数陽)