ヒゲオヤジは「スウパアスタア」、「ふしぎ旅行記」は二流作品―。漫画家手塚治虫が1950年ごろ、自作キャラクターを映画俳優に見立てた格付け表や出演料一覧、「自評」と題して自らの漫画を辛口批評したコラムなどを手書きした「創作ノート」が見つかったことが13日分かった。16日発売の新刊「手塚治虫キャラクター名鑑」(玄光社)で初公開される。
一つのキャラが別の作品でも活躍する「スターシステム」を好んだ手塚のユニークな視点が垣間見える貴重な資料。本書を編集した濱田高志さんは「手塚先生の遊び心に満ちた創作過程を知れる一冊。晩年まで描かれ続けたヒゲオヤジら“名優”たちの魅力を知ってもらえたら」と話す。
手塚プロダクションによると、B5サイズ程度のノートに手塚がアイデアを書き留めたもの。手塚作品の復刻版を作る中で、同社資料室でバラバラになっていたノートが見つかったという。
初公開の創作ノートは約12ページ分。映画誌に似た体裁で、各キャラの所属スタジオなど架空の設定も含む細かなプロフィルを記述。例えば、白ひげが印象的なヒゲオヤジは「ブリリアント・ブラザーズ」所属の「スウパアスタア(大スター)」で、出演料は「一五〇〇〇」。歴代の出演作と役名を示す一覧表では漫画「ロストワールド」の伴俊作役と書かれている。
キャラの格付けは大スターからバイプレーヤー(脇役)まで4段階。大スターは初期作から活躍するヒゲオヤジ、ケン一などで、漫画「ジャングル大帝」などの悪役ハム・エッグは1ランク下のスターの位置付けだ。映画評を模した「自評」も充実。漫画「ふしぎ旅行記」は「凝った割にみばえのせぬ二流作品」とこき下ろす。
「手塚治虫キャラクター名鑑」では他に、43年の手帳に記されていたヒゲオヤジの絵の「書き方」など多数の資料を初公開。単行本未収録でヒゲオヤジが主役の漫画「伴俊作まかり通る」も掲載する。4400円。
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手塚「創作ノート」初公開 キャラ格付け、自作の評も
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琉球新報朝刊
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