有料

動機不明、公判見通せず 首相襲撃1年 関係者、不安抱え


動機不明、公判見通せず 首相襲撃1年 関係者、不安抱え 木村隆二被告の起訴罪名
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 岸田文雄首相が選挙の応援演説に訪れた和歌山市の会場に爆発物が投げ込まれた事件は、15日で発生から1年となる。首相らへの殺人未遂などの罪で起訴され、大阪刑務所に勾留されている木村隆二被告(25)は黙秘を続け、動機は不明のまま。公判前整理手続きは開かれておらず、裁判開始の見通しは立っていない。襲撃を許した警察関係者や現場に居合わせた人たちは今も後悔や不安を抱える。昨年4月15日午前11時25分ごろ、和歌山市の雑賀崎(さいかざき)漁港で、首相の演説直前にパイプ爆弾が投げられ警官ら2人が軽傷を負った。
 当時、警護本部トップを務めていた和歌山県警の山崎洋平前本部長は今月3日の離任記者会見で「万全を期したつもりだった」と悔しさをにじませた。
 県警は現場での金属探知検査などを自民県連側に要請したが、関係者以外は来ないと説明され見送られた。「やはり、やるべきだった」と後悔するのは警備に携わった警察関係者。事件後、警護の準備や実施に求められる要求は高まり、毎回大きなプレッシャーを感じるという。
 雑賀崎漁港では、爆発地点から数十メートル先のコンテナに爆発物の一部が突き刺さった跡が残る。雑賀崎漁業協同組合長の浜田光男さん(77)はその威力に「人に当たっていたら大変なことになっていた」と改めて思う。
 木村被告は、被選挙権の年齢制限などを理由に参院選に立候補できなかったことに不満を募らせていたとみられる。
 3月に取材を試みたが、弁護士以外の接見は禁止されており実現しなかった。