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次元違う戦争に 発展する恐れも


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 慶応大大学院の田中浩一郎教授(西アジア地域研究)の話 イスラエルに在シリアのイラン大使館領事部を攻撃され、イランは報復が不可避だった。一方でイスラエルはイランに反撃する「正当性」を得たと捉えるだろう。報復の連鎖が起これば、パレスチナ自治区ガザでの戦闘から「国対国」の次元の違う戦争に発展する恐れがある。
 これまでイランはイスラエルを後方支援する米国の介入を避けようと、親イラン勢力の米軍攻撃などにブレーキをかける立場だった。米国に対し「領土を攻撃したら報復する」と警告もしていた。イスラエルが在シリアのイラン大使館領事部という「飛び地」を攻撃して挑発したことで、イランが直接手を下すしか選択肢がない状況になっていた。
 イスラエルのネタニヤフ政権はイランに反撃するだろうが、規模は米英両国がどれだけ加勢するかによる。規模次第では、イランが「安全保障上の脅威」だと主張して核拡散防止条約(NPT)から脱退し、公然と核兵器保有に向かう呼び水にさせてしまう。