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最悪の敵対国 緊迫 イラン、イスラエルに報復 中東不安定化に拍車


最悪の敵対国 緊迫 イラン、イスラエルに報復 中東不安定化に拍車 イランの首都テヘランで開かれた反イスラエル集会=14日(ロイター=共同)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 イランがついに宿敵イスラエルへの直接攻撃に踏み切った。在シリアのイラン大使館に対する今月1日の攻撃への報復を国民に繰り返し誓ってきた最高指導者ハメネイ師が、体面を保つことを優先した結果だと言える。対立の先鋭化は避けられず、報復の連鎖に陥る恐れがある。 (1面に関連)
 両国は中東最悪の敵対関係にある。イランはイスラエルをパレスチナの占領者と位置付け、国の生存権を認めていない。イスラエルを攻撃する中東各地の親イラン武装組織に資金、軍事両面で肩入れしてきた。イスラエルもまた核開発を拡大するイランを安全保障上の脅威と捉え、対抗する。両国の対立は、地域を不安定化させる最大の要因だった。
 ハメネイ師は大使館攻撃を「われわれの領土に対する攻撃」と受け止め激怒。これまで直接攻撃を見送ってきた経緯から「今回も直接報復しない」との見方が広まったが、自身を頂点とするイスラム革命体制を支える保守強硬派を中心に報復を求める声は根強かった。
 今後、イスラエルとの戦闘が泥沼化する可能性がある。イスラエルの後ろ盾である米国が介入すれば、展開次第で革命体制の崩壊につながる恐れさえはらむ。ハメネイ師が体制の存続をかけた賭けに出たのは間違いない。中東は予断を許さない段階に突入した。(テヘラン共同=渡会五月)