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車運転中止前に 「代替の手段を」 高齢者増で老年学会


車運転中止前に 「代替の手段を」 高齢者増で老年学会 日本老年学会の高齢者の自動車運転に関する提言のポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 高齢ドライバーの増加に伴い、日本老年学会は15日、高齢者の自動車運転に関する提言を盛り込んだ報告書を公表した。認知機能や身体機能の衰えを定期的に把握し、運転継続が難しい場合は行政や地域からの適切な支援を受けつつ、中止する前に代替手段を検討すべきだとした。
 オンラインで記者会見した荒井秀典・学会理事長は、高齢者の運転技能は多様だとし「高齢運転者と危険運転者を同一視するような差別的なイメージは誤り。社会全体で多面的な取り組みを推進する必要がある」と強調。その上で「ゼロリスクにできる限り近づけるにはどうすべきか、科学的に示したい」と話した。
 報告書は、高齢運転者は視機能、認知機能、身体機能の低下から運転技能が低下することがあり「死亡事故などを起こす危険性が高い状況にある」とした。免許更新の際などに適切な運転技能の判定が必要だという。
 一方、運転を中止した高齢者は、継続した高齢者と比べて要介護状態になるリスクが高かった。生活範囲が狭くなり、活動機会も減少して、認知症のリスクも上昇。運転中止前に、自身で運転する以外の代替手段を検討すべきだとした。
 運転を継続する場合も、実車訓練などで運転技能が向上することが明らかになっており「普及していく必要がある」と指摘した。