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年金65歳まで納付 底上げ効果試算へ 厚労省 自営業ら保険料5年延長


年金65歳まで納付 底上げ効果試算へ 厚労省 自営業ら保険料5年延長 年金財政検証の「オプション試算」項目
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 厚生労働省は16日、年金の長期的な給付水準を点検する今年の「財政検証」で、自営業者らが加入する国民年金の保険料納付期間を現行の「60歳になるまでの40年」から「65歳になるまでの45年」に延長した場合の給付の底上げ効果を試算する方針を決めた。社会保障審議会(厚労相の諮問機関)に試算項目を提案し、了承された。
 納付期間の延長で給付の原資が増え、将来受け取る年金の水準低下を緩和する狙い。厚労省は今夏に検証の結果を公表し、年末までに実施の可否を決める意向だ。制度改正の関連法案を2025年の通常国会に提出する方針。
 財政検証では、年金制度を改正した場合に将来の給付水準がどう変化するかを調べる「オプション試算」を実施する。
 少子高齢化で水準が目減りしていく中、制度改正に向けた議論で重要な指標となる。34年度以降の実質経済成長率を、プラス1・6%からマイナス0・7%までの4段階で想定して実施することも決まり、今年の財政検証の枠組みが固まった形だ。
 国民年金保険料の納付期間は20歳以上60歳未満の40年間。65歳になるまでの45年間に延長すると、受け取る年金額は増える。ただ保険料負担は重くなるため、反発が出る恐れもある。国民年金を給付する財源の半分は国庫負担で、追加費用の確保策も課題となる。
 試算では他に(1)パートら短時間労働者が会社員ら向けの厚生年金に加入する要件を緩和(2)国民年金の水準低下を緩和するため、厚生年金から財源を振り向ける(3)65歳以降の賃金に応じて厚生年金が減る「在職老齢年金制度」の見直し―などの影響も確認する。
 財政検証は人口や経済情勢の変化を踏まえて年金財政の持続性を確かめる。04年の年金制度改革で5年に1度の実施が義務付けられた。