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米、比に中距離ミサイル 共同演習、中国けん制


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ワシントン、マニラ共同】米太平洋陸軍は16日までに、フィリピン軍との共同軍事演習の一環として、中距離ミサイル発射装置を同国ルソン島に11日に展開したと発表した。米国とロシアの中距離核戦力(INF)廃棄条約失効を受け、地上発射型のミサイル装置を配備する初の例とみられる。南シナ海で軍事活動を継続する中国をけん制する狙いがある。
 米軍当局者は一時的な展開だと説明した。急速な軍拡を続ける中国に対抗するため、日本の南西諸島から台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」に射程500キロ以上の中距離ミサイルを置く構想があり、今後具体化するかどうかが注目される。
 太平洋陸軍は声明で「フィリピン軍との相互運用性や即応力、防衛能力を高める重要な節目となる」と意義を強調した。発射装置には迎撃ミサイル「SM6」や巡航ミサイル「トマホーク」が搭載可能という。
 米国は射程500~5500キロのミサイル全廃を定めたINF廃棄条約が失効したことで、地上発射型中距離ミサイルの配備が可能になった。トランプ前政権が2019年2月に条約破棄を通告した。