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支援金法案 衆院通過へ 少子化対策 保険料上乗せ、野党反対


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 児童手当拡充を柱とした少子化対策関連法案は18日、子ども政策に関する衆院特別委員会で自民、公明両党の賛成多数により可決された。19日の本会議で衆院を通過する見通し。財源確保のため公的医療保険料に上乗せして徴収する「子ども・子育て支援金」創設が最大の論点となり、立憲民主、日本維新の会、共産、国民民主など野党は法案に反対した。
 支援金を巡り、政府は社会保障費の歳出削減により「実質的な負担を生じさせない」と繰り返した。ただ歳出削減の具体策に踏み込んだ説明はなかった。年収別の徴収額試算も、野党の要求を受けて示すなど対応は後手に回った。
 18日の特別委で立民は、支援金に関し「企業からも徴収すれば賃上げのブレーキになる」と強調。維新は、現役世代の負担になり「結婚や出産をためらわせ、少子化を加速させる」と指摘した。
 支援金に代わる財源として、立民は、日銀保有の上場投資信託(ETF)の分配金収入を活用する修正案、維新が国会議員の定数削減や国の不要な資産を売却して充当する修正案をそれぞれ提出。いずれも否決された。
 法案は、支援金を2026年度に創設すると規定。徴収総額を6千億円から順次引き上げ、28年度に1兆円とする。
 岸田文雄首相は2月の国会で、公的医療保険の加入者1人当たりの月平均徴収額は28年度に「500円弱」と答弁した。
 実際は、加入する医療保険や収入で異なる。政府は、会社員らの「被用者保険」、自営業者らの国民健康保険、75歳以上の後期高齢者医療制度についてそれぞれ年収別の試算を提示。毎月の負担額は50~1650円と幅がある。会社員らの被用者保険では原則、事業主も同額を拠出する。
 少子化対策では、児童手当の支給を高校生年代まで延長し、所得制限を撤廃。第3子以降は月3万円に倍増する。他に、両親共に育児休業を14日以上取った場合、育休給付を最大28日間、実質10割に引き上げる。財源には支援金などを充てる。