有料

年収や加入保険で差大きく


年収や加入保険で差大きく 医療保険ごとの支援金徴収月額(2028年度)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 公的医療保険料に上乗せされる「子ども・子育て支援金」の負担額試算が相次いで示されている。岸田文雄首相が「月500円弱」と説明してから2カ月余り。負担額は年収や加入保険に応じて決まり、政府試算によると月50円の人もいれば、月1650円徴収されるケースもあり、差は大きい。国民の理解を得るためにも丁寧な説明が求められる。
 試算によると、2028年度の負担額は、会社員らが入る被用者保険では、保険料を払う「被保険者」1人当たり平均月800円。年収別は200万円なら月350円、1千万円では月1650円となる。自営業者らが入る国民健康保険(国保)は「加入者」1人当たり平均月400円。年収80万円では月50円、800万円の場合は月1100円だ。
 75歳以上の後期高齢者医療制度では、加入者1人当たり平均月350円としている。
 ただ、政府が説明する「加入者」は、保険料を払わない子どもらを含めており、国保などでは家族構成によっては実際の負担額が政府試算より多くなる。野党は、試算額を低く見せかけていると批判している。
 首相は2月6日、試算額に初めて言及。保険の別を問わず加入者1人当たりの目安として月500円弱とした。その後、政府が保険ごとの試算を明らかにしたのは、関連法案が衆院で審議入りする直前の3月29日だった。野党は年収別データを要求し、当初は後ろ向きだった政府は今月9日になって被用者保険の年収別を提示。さらに国保は同11日、後期高齢者医療制度は同16日にそれぞれ年収別を示した。
 この間、政府は「(国民に)実質的な負担は生じない」との従来の説明を繰り返し強調。野党は「子育て増税だ」「(試算の)小出しで不誠実だ」と追及を強めている。