島しょ県で高い山や大規模な河川のない沖縄では、安定した水源の確保は悲願だった。復帰から50年間で、ダム開発などによって安定供給可能な水量は約4倍に増加し、ダムの利水容量は復帰時の420万立方メートルから1億1235万立方メートルと、大幅に増えた。給水制限(断水)は94年を最後に30年間発生していない。ただ2023年9月以降は少雨が続き、一時は断水の可能性も浮上した。
復帰時、沖縄本島では瑞慶山ダム(現・倉敷ダム)、天願ダム(現・山城ダム)などがあった。県企業局の資料によると、当時は水源別の取水量でみるとダムは15%程度に過ぎず、河川と地下水が多くを占めていた。米陸軍工兵隊による建設が始まっていた福地ダムは国に引き継がれ、74年に完成。その後もダム建設が進み、現在では国と県、企業局の管理合計で11ダム体制となっている。
復帰後、94年までに延べ1130日間の給水制限が実施された。中でも81年から82年にかけては、300日以上にわたって制限が続いた。現在ではダム整備や海水淡水化装置導入などで渇水への備えは手厚くなっているが、今後も少雨の年には給水制限となる恐れは残り、消費者の節水意識の向上などが求められる。
(沖田有吾)