有料

米、中国製EV関税4倍 半導体も強化、報復懸念


米、中国製EV関税4倍 半導体も強化、報復懸念 最近の米中関係を巡る主な動き
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ワシントン共同=山崎翼】バイデン米政権は14日、中国製品への制裁関税を強化すると発表した。中国勢が輸出攻勢をかけている電気自動車(EV)の税率は従来の4倍の100%に引き上げる。政権が成長産業として重視する半導体や鉄鋼なども対象とし、問題視してきた中国企業の過剰生産能力に強硬姿勢を示す。中国の報復による対立激化も懸念される。
 相手国の不公正貿易に対する制裁を認めた米通商法301条に基づく措置。トランプ前大統領との再対決が見込まれる米大統領選を11月に控え、「トランプ時代」の25%を圧倒する関税で国内産業を保護する方針を強調し、バイデン大統領の支持を広げる狙いもありそうだ。トランプ氏は再登板なら中国からの輸入品に一律60%の関税を課すと表明しており、今回のEV関税はこれも上回る。政権の経済政策を担う米国家経済会議(NEC)委員長のブレイナード氏は、中国が過剰生産や不当に割安な製品を市場に氾濫させることで「他国を犠牲にして成長する戦略を続けている」と批判した。
 EVの関税は通常2・5%だが、制裁関税が25%上乗せされている。この制裁関税を年内に100%に引き上げる。ホワイトハウスは、昨年の中国のEV輸出が過度な補助金などを背景に前年比70%増えたとし「米国の製造業者を中国の不公正な貿易慣行から守る」と説明した。
 半導体の制裁関税は25年までに現行の25%から50%に強化。特定の鉄鋼とアルミニウムは24年内に、0~7・5%を25%に引き上げる。EV向けリチウムイオン電池も年内に7・5%から25%とする。天然黒鉛などの重要鉱物や太陽光発電の関連品、医療製品も税率を引き上げる。
 2023年の対中貿易赤字は約2800億ドル(約44兆円)。輸入額は減少したが、依然として貿易面での対中依存度は高い。