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選挙の争点は? 県政、国政への影響は? <沖縄県議選2024 政党座談会>2/2


選挙の争点は? 県政、国政への影響は? <沖縄県議選2024 政党座談会>2/2 イメージ写真
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 16日投開票の県議会議員選挙は、与野党構成比が最大の焦点となり、野党・中立が過半数の28議席を獲得した。琉球新報が17日に開いた県内政党代表者による座談会には7氏が出席した。各陣営の勝因・敗因から争点、過去最低となった投票率、選挙結果が県政運営に与える影響や米軍基地問題などを巡り、さまざまな意見が交わされた。

(’24県議選取材班)
(敬称略)

<争点>

自民「裏金」そらす 共産・鶴渕氏
課題可決能力問う 公明・上原氏

仲村未央氏


 ―選挙を振り返って、争点は何だったか。

 鶴渕 戦場にしない、暮らしを守る、裏金に象徴される自公政治に審判を下す―の三つだ。自民は裏金問題は本土の自民党の問題だと争点をそらした。自公政治を容認した結果ではない。

 仲村 物価高の生活支援をどうするのか非常に問われた。中でも給食費無償化は最も関心があった。辺野古の代執行に象徴される、地方自治の踏みにじりに対する沖縄の選択も問われた。

 照屋 知事の県政運営の是非、2期6年の評価で、逃げずに正面から受け止めるべきだ。辺野古代執行や基地機能強化、顕著な沖縄予算減額など岸田内閣の沖縄への向き合い方も問われた。

 上原 2期目の玉城県政の中間評価だった。県内の経済回復、離島振興をはじめ、子育て教育、福祉医療、介護など山積している課題を解決するのはどの政党、候補なのかが問われた。

 高良 米軍基地の問題が争点からずれることはない。基地問題の中に暮らしの問題があるということを、裏金問題と結びつけることができなかった。伝え方の問題があったと反省している。

 山川 身を切る改革と教育無償化が争点だった。県民生活が苦しい中、政治家が襟を正すべきだと訴えてきた。子育てにお金が掛からない沖縄の実現を訴えたことも期待感が表れた。

 島袋 知事の行政運営能力への疑問、不信が県民の間に広がった。給食無償化の政策は二転三転した。これが県民生活にマイナスな案を支持する与党革新勢力にノーを突きつけた結果だ。


<投票率>

政治不信は深刻だ 社民・照屋氏
世代間で課題共有 社大・高良氏

照屋大河氏


 ―過去最低の投票率だった。投票率向上にどう取り組むか

 照屋 投票率は政治に対する期待度を表す。政治不信は深刻だ。長引く物価高騰で実質賃金が下がり続ける中での裏金問題だ。生活を豊かにする政治にどう転換するかが問われている。

 上原 投票率が厳しいのは与野党問わず、反省しないといけない。日ごろから議会活動を県民にしっかり報告して、とくに政策を発信する。議会報告会、SNSの取り組みも強化すべきだ。

 高良 投票率をいかに回復するかが課題だが、世代間で求めることは違う。若者は生活や子育て、高齢者は平和や基地問題で格差がある。それを世代間で共有することが投票率につながる。

 山川 政治に近い企業や団体には恩恵はあるが、それ以外の一般の方々には納めた税金の恩恵が感じられない世の中になっているのではないか。国民全体に分配する仕組みをつくるべきだ。

 島袋 高校での出前講座は年間数校でしか行えていないが、任期4年間で全約60校に出向いて県議の仕事を発信するのはどうか。自ら飛び込んで変えないと投票率は上がってこない。

 鶴渕 要因はいろいろあるが、大きくは政治不信にある。裏金問題が政治不信を招いた。どうすれば政治が変わるのか、変えられるか。みんなで語り合える社会をつくることが大事だ。

 仲村 政治に関心を持てないほどの経済疲弊がある。それを変えるためにも、生活や命に関わることが政治で変わることを示す必要がある。日常の政治活動にどう取り組むかが問われている。


<今後の影響>

国政も課題解決を 立民・仲村氏
教育の無償化実現 維新・山川氏

上原章氏
山川泰博氏


 ―県政、国政への影響をどう考えるか。

 上原 県政運営、国政に影響がある。知事は与野党逆転を真摯(しんし)に受け止めてほしい。事前協議もなく発表された給食費無償化を巡り、議会は行政の監視機関としてあるべきだと痛感した。

 高良 国政と県政どちらにも影響はあるだろう。沖縄は地域外交、平和外交を訴えており、ある意味で沖縄の立場を出すことで国に影響を与える。県議会の意見書も国政に影響を与える。

 山川 沖縄でも教育の無償化が実現できると、県民に伝えられる。大阪では政治家の身を切る改革で財源を確保し実現した。沖縄でも教育無償化を実現し、経済を回し相乗効果を訴える。

 島袋 国政の問題と地方政治を切り離して考えるという県民の皆さんの常識が今回の結果につながった。国政選挙ではいろいろな面で議論があると思うが、本県議選は玉城知事の評価だ。

 鶴渕 厳しい県民の評価として真摯に受け止め捲土重来(けんどちょうらい)を図る。同時に、これは自公政治を容認した県民の選択ではないと強調したい。自民を隠した選挙で基地問題などの論戦もなかった。
 仲村 沖縄は米軍の事件事故や日米地位協定の課題があり、有権者の選択は国政と連動するため、影響するだろう。一方県民の厳しい判断があるので、国政も課題解決をすることが大切だ。

 照屋 少数与党となり極めて厳しい議会運営を強いられる。自民の裏金問題は国政選挙こそ評価が真正面から示される。態勢を立て直し、県民の思いに応えられる取り組みをしていく。


【座談会出席者】

新垣和也政経グループ長

島袋大氏(自民党県連幹事長)

鶴渕賢次氏(共産党県委委員長代理)

仲村未央氏(立憲民主党県連代表)

照屋大河氏(社民党県連代表)

上原章氏(公明党県本代表)

高良鉄美氏(社大党委員長)

山川泰博氏(日本維新の会県総支部幹事長)

司会 新垣和也(琉球新報社政経グループ長)