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野党躍進の要因は? 普天間移設への影響は? <沖縄県議選2024 政党座談会>1/2


野党躍進の要因は? 普天間移設への影響は? <沖縄県議選2024 政党座談会>1/2 沖縄県議会(資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社


 16日投開票の県議会議員選挙は、与野党構成比が最大の焦点となり、野党・中立が過半数の28議席を獲得した。琉球新報が17日に開いた県内政党代表者による座談会には7氏が出席した。各陣営の勝因・敗因から争点、過去最低となった投票率、選挙結果が県政運営に与える影響や米軍基地問題などを巡り、さまざまな意見が交わされた。

(’24県議選取材班)
(敬称略)


<勝因・敗因>

我々の声が届いた 自民・島袋氏
争点鮮明にならず 共産・鶴渕氏
暮らし政策に評価 公明・上原氏
弱者から支持得た 社大・高良氏

島袋大氏
鶴渕賢次氏


 ―勝因・敗因を踏まえた選挙結果の総括は。

 島袋 自民公認候補20人が当選を果たし、まさに歴史的勝利だ。特に宮古島市区では保守系が2議席取った。われわれの声が届いた選挙結果だ。2年後の知事選へ向けて頑張っていく。

 鶴渕 貴重な議席を失い残念だ。報道機関の出口調査では県民の7割以上が岸田政権を支持しなかったが、それが反映されなかった。自民は政党隠しをして選挙争点が鮮明にならなかった。

 仲村 非常に厳しい結果だ。地域の活動や支援に関する体制に課題を残した。県政与党の立場から、どのような社会を目指すかの訴えが届きにくかった。見直しを進め、取り組み続ける。

 照屋 与野党逆転され衝撃を受けている。自民裏金問題への怒りは間違いなく大きかった。しかし、与党が批判の受け皿になりきれず、無党派層を中心とした有権者は棄権したのではないか。

 上原 4年前の県議選はコロナ禍で公認候補を2人辞退させたが、今回は4人全員当選を目指して頑張り実現させた。暮らしに根ざした政策を最大評価していただいたものだ。

 高良 与党が議会で少数になったのは衝撃だ。党としては若返りを図ったことが勝因だ。生活に苦しむ若者の声を拾い、女性候補を立てて社会的弱者から支持を得た。若手を支えていく。

 山川 全員当選できず悔しい結果だ。私たちは『身を切る改革』として議員報酬の20%カットを県議会に提案し、仮に否決されても自らでしっかりカットする。政策をさらに浸透させる。


<普天間移設>

跡地利用方向示す 自民・島袋氏
危険除去にならず 立民・仲村氏
基地強化許されぬ 社民・照屋氏
早期に危険除去へ 維新・山川氏

高良鉄美氏

 ―米軍普天間飛行場の返還・移設への影響。同問題をはじめ基地問題にどう取り組むか。

 仲村 辺野古移設は技術的に不透明で、順調に進んでも12年かかり、普天間飛行場の危険除去にはならない。沖縄を戦場にするような態勢は認められないという立場で取り組んでいく。

 照屋 歴代自民内閣は沖縄の民意を無視してきた。今選挙の結果が普天間問題に与える影響も限定的だろう。これ以上の基地強化は許されない。戦争準備を進める勢力と対峙(たいじ)していく。

 上原 基地問題について司法の場での解決は厳しいと言わざるを得ない。県民が基地負担軽減を実感できる道筋を示すことが最優先だ。県と政府が歩み寄れるよう働きかけていきたい。

 高良 辺野古問題の世論は変わっていない。自衛隊含め県民の基地負担は増えている。普天間飛行場の返還は国際社会では当たり前だ。少数与党でも、しっかり解決に向け取り組む。

 山川 米軍キャンプ・シュワブの辺野古側をヘリパッドとして活用し、早期の危険除去に取り組む。世論の分裂や県知事選の結果も踏まえ、工事の中止も含め、考える必要がある。

 島袋 辺野古移設が現実的として容認してきた。これからは夢のある跡地利用のビジョンを示すことが必要だ。海兵隊のグアム移転の計画もあり、引き続き基地の整理縮小を求める。

 鶴渕 県民の民意はまったく変わってない。米軍の新基地建設をストップさせるために玉城デニー知事の平和外交を支援していく。そのためにオール沖縄で団結して頑張りたい。


新垣和也政経グループ長

【座談会出席者】

島袋大氏(自民党県連幹事長)

鶴渕賢次氏(共産党県委委員長代理)

仲村未央氏(立憲民主党県連代表)

照屋大河氏(社民党県連代表)

上原章氏(公明党県本代表)

高良鉄美氏(社大党委員長)

山川泰博氏(日本維新の会県総支部幹事長)

司会 新垣和也(琉球新報社政経グループ長)