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沖縄予算 県の裁量減り、国の直轄分は増加 「沖縄の自立的発展」と乖離


沖縄予算 県の裁量減り、国の直轄分は増加 「沖縄の自立的発展」と乖離 沖縄空撮(資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 内閣府沖縄関係予算で沖縄側が配分額を決める一括交付金など地方向け補助金が減額しているのに対し、政府側に裁量権が大きい予算の割合が増加している。沖縄の自立的発展を目的に、実情に合った予算編成をすることが狙いだった沖縄関係予算だが、国直轄分が存在感を示してきており、沖縄の自主性を重んじた形とは乖離(かいり)しつつある。

 一括交付金が創設された2012年度、国直轄分は838億円で予算全体に占める割合は28・5%だったのに対し、24年度は1200億円で44・8%まで増えた。一方で地方向け補助金は12年度は2099億円で71・5%だったが、24年度は1478億円の55・2%だった。地方向け補助金の中でも著しく減額が続くのが、社会資本整備や水道施設整備などに使う沖縄振興公共投資交付金(ハード交付金)だ。12年度は771億円だったが、24年度は407億円まで減少した。

 県は今回の要請で、概算要求額の根拠として、減額で市町村の事業に大幅に遅れが生じていることを示した資料を国に提出した。特に大きな影響を受けている28事業などを提示。市町村から上がった切実な声を反映させ、要求額確保への理解を求める。また国全体の公共事業関係費は12年度比64%に増えているのに対し、県へのハード交付金は同47%減となっているという、不合理な状況も客観的に示した。

 減少傾向にある地方向け補助金だが、19年度に新設された県を通さずに市町村や民間へ直接交付できる「沖縄振興特定事業推進費」は増加している。19年度は30億円だったのに対し、24年度は85億円まで増額した。

 県担当者は「市町村が主体の細かな公共事業が進まなくなる」と、県の裁量が大きい一括交付金が減額している現状に危機感を募らせる。県民生活への影響が生じないよう、地方向け補助金拡充の必要性を強調した。

 (石井恵理菜)