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ポスト岸田、準備加速へ 本命不在の自民総裁選


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 岸田文雄首相が14日、自民党総裁選への不出馬を表明したのを受け「ポスト岸田」候補は総裁選への準備を加速させる。ただ、多くの派閥が解散方針を決めて求心力を失う中、立候補に必要な推薦人20人の確保は容易でない。「政治とカネ」問題への対応や、次期衆院選に向けた「選挙の顔」としての資質も求められる。来月の投開票を控え、現時点では本命候補不在だ。
 世論調査で人気が高い石破茂元幹事長(67)は訪問先の台湾・台北で記者会見し、出馬意欲を重ねて表明した。「一緒にやろうという人が20人いれば、ぜひとも出馬したい」と述べた。小泉進次郎元環境相(43)や河野太郎デジタル相(61)と組む「小石河連合」にも含みを持たせる。
 党実務を仕切る茂木敏充幹事長(68)は「極めて残念だ。首相を退任されるという大変重い決断であり、判断を重く受け止めたい」とコメントした。茂木氏はかねて出馬に意欲を示しており「首相不出馬で『令和の明智光秀』と言われなくなる」(閣僚経験者)との見方が出そうだ。麻生太郎副総裁(83)との連携を模索する構えだ。
 3年前の総裁選に出馬した高市早苗経済安全保障担当相(63)は取材に「急なことで驚いたが、2025年度予算の概算要求もあるので最後まで首相を支える」と述べた。7月に安倍政権の実績を紹介した新著を出版し保守派へのアピールを続ける。周辺は「体制固めを急がなければいけない」と語った。
 3年前の総裁選で首相と決選投票まで争った河野氏は既に所属する麻生派会長の麻生氏に出馬意欲を伝えた。ただ派内を挙げての支援が得られる見通しは立っていない。
 党内中堅・若手を中心に待望論がある小林鷹之前経済安保担当相(49)は「党が生まれ変わったと思ってもらえるような改革努力を議員一人一人が受け継いでいかなければならない」とのコメントを出した。小林氏を支える若手は「いつ何があってもいいように構えている」と明かす。小林氏は裏金事件で役職を外された安倍派議員らの処遇について見直すべきだと主張しており、総裁選の論点に浮上しそうだ。