米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡る国と県の法廷闘争はこれまで14件が争われ、9件で敗訴が確定している。県は地方自治などの観点から辺野古新基地の是非を繰り返し問うてきたが、これまで実質的な審理に入ったものはほとんどなく、県にとって厳しい判断が続いている。現在、国と県の間で争われている裁判は、2日に控訴審判決が出された抗告訴訟のみとなっている。
今回の裁判は、軟弱地盤の改良に伴い沖縄防衛局が提出した設計変更申請を巡り、県の不承認処分を取り消した国土交通相の裁決は違法だとして、県が処分の効力回復を求めたものだ。
昨年11月に出された一審の那覇地裁判決は、県に原告適格がないとして県の訴えを却下していた。
ただ、国は昨年末に設計変更申請を県に代わって承認する代執行を行い、今年1月には大浦湾側の工事に着手している。
県は上告を視野に検討を進めるが、見通しは厳しい状況だ。
一方、辺野古新基地問題を巡る県と国の法廷闘争は、新基地建設阻止を巡る一つの側面だ。
辺野古周辺の住民による裁判は現在、3件が争われており、このうち県による埋め立て承認の撤回を取り消した国土交通相の裁決が違法だとして、国に裁決の取り消しを求めた抗告訴訟で福岡高裁那覇支部は今年5月、住民の「原告適格」を認める判断を出した。
現在、国が最高裁に上告している。
(知念征尚)