―沖縄は子どもの貧困が深刻だ。
「県が2015年に実施した調査で、沖縄の子どもの貧困率が29・9%で全国の約2倍に達すると判明した。その後の対策によって改善がみられていたが、コロナ禍によってその比率は悪化している」
「23年にこども家庭庁ができ、全国一律で子どもの貧困対策へ力を入れようとしている。それ自体は評価するが、沖縄の子どもの貧困は、県民所得の低さや沖縄戦以降の社会状況による歴史的な貧困の連鎖など、問題が全国より先鋭化している部分がある。こども家庭庁で一律的な政策に吸収されていくと、沖縄に特化した問題への対応が鈍くなる可能性を懸念している。内閣府が実施してきた貧困対策の進捗(しんちょく)や意義を再評価し、次の政策につなげていくべきだ」
―教育の課題は。
「23年度に精神疾患で休職した県内公立小中高・特別支援学校の教員が過去最多になった。教員1人当たりの児童生徒数の変更など、抜本的な対策に国が取り組むべきだ。大学や高等専門学校、各種専門学校の無償化など、金銭的な理由で将来の選択を狭めないための政策も必要だ」
「一方で、置かれている環境ゆえに小中学校の段階で将来の展望が描けず頑張る意欲を失い、学校教育における学びの機会から取り残されてしまう子どもたちへの支援も重要だ」
―どんな支援が必要か。
「子どもが意欲を回復するためには、かけがえのない存在として地域で大切にされる経験が重要で、その実現のための子どもの居場所と学校の連携体制の構築が求められる。若者のキャリア形成の再チャレンジを地域と共にサポートする仕組み作りも急務だ。意欲を持ち、前向きに将来を考えられる若者がこれまで以上に沖縄で育まれることは、産業振興にもつながる」
「少子化が進む中で、子どもや若者の育ちを沖縄社会で保障するためにはどういった政策・対策が必要なのか、選挙戦を通じて各立候補予定者と共に有権者にも考えてもらいたい」
(’24衆院選取材班)
(おわり)