【島人の目】1ドルへの思い


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 1月25日から31日までペルーに滞在した。沖縄県人ペルー移住100周年記念式典に参加するためであった。
 ロサンゼルスから首都のリマ市まで飛行機で約8時間。ペルーの言語はスペイン語で、同市の至る所にスペイン系ペルー人の英雄の銅像が建つ。貨幣はフローレスだが、ドルが通用する。経済活性化を図るためであろう。カジノが設置されている。
 貧富の差は大きいようだ。富裕層の邸宅の塀の上には鉄条網が張りめぐらされており、異様な雰囲気に感じられた。街全体に明るさがない。そんな印象だ。
 観光地ミラフローレスはハワイを思わせるリゾートエリアで、風光明美な所。だが、そこではドルをねだる子供たちの姿を見掛ける。
 5、6歳の女の子がチューインガムを1ドルで売っていたので買った。そのそばから同世代の男の子が私に1ドルをせがんでいたが、頑としてあげなかった。
 私は「何もしないで金だけをくれというのは良くない。何か自分で作って売る。それならば買う」とつたないスペイン語で諭した。
 こじきを3日もするとやめられないという。私の「あなたの努力次第ではペルーの大統領にもなれる可能性がある」との説教は徒労に終わったかもしれないが、自分自身にも言い聞かせた。「1ドルが惜しいのではなく、1ドルを生かしたかったのだ」と。
(当銘貞夫通信員)