【島人の目】チムグクル


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 ハワイ生まれの二世劇作家ジョン城田さんはよく「ウチナーンチュはどこへ行ってもウチナーンチュだ」と表現する。一般に人がそれを言うときは2つの意味がある。ネガティブとポジティブ(否定と肯定)だ。城田さんの場合は後者、いわゆる「良い意味」が多い。
 先ごろ開催された「沖縄県人ペルー移住百周年記念式典」に参加した沖縄の市町村長、議会議員一行はペルー、メキシコを経て、2月3日に北米沖縄県人会館を訪れた。夜は中国レストランで県人会役員らと食事会を持った。翁長雄志那覇市長を団長に、儀間光男浦添市長、伊波洋一宜野湾市長、儀武剛金武町長ら23人と随行員であった。
 それぞれが基地問題を抱えているが、当日はその話はせず、三線を弾いたり、踊ったり、歌ったりしていた。席上、あいさつした私はペルーでの出来事として「われわれ北米沖縄県人会は、ディアマンテスショーの切符販売純利益の半分をペルー沖縄県人会に寄付した。残りは北米沖縄県人会のエレベーター基金に寄付した」と話した。
 とっさにそれを聞いた代表団一行はポケットマネーから1万円ずつを提供、合わせて23万円をエレベーター基金に寄付した。まさしく“ウチナーンチュのチムグクル”を感じさせる一幕で、代表団への感謝と同時に、ジョン城田さんの表現が思い出された。
(当銘貞夫、米国通信員)