親友が亡くなった。享年34歳、早い旅立ちであった。彼との出会いは、インドネシアに来て間もないころであった。身長186センチ、体重95キロの巨漢。職業柄であろうか怖い顔で立っていて、まさに、金剛力士像そのものであった。
その当時は、毎週末一緒に出掛けた。彼の性格は、その外見とは対照的で、礼儀正しく温厚、怒ったり、声を荒らげたりしたのを見たことがない。わんぱく少年のいたずらっぽい眼で、よく皆を笑わせていた。
ここ数年は、私の仕事が忙しく、彼とは冠婚葬祭や季節の行事で会う程度になっていた。「タフで強靱(きょうじん)な男」のイメージが焼き付いていて、入院した直後も信じられなかった。
人の生死は、神の手にある。今さら「もし」を考えても仕方ない。しかし「なぜ、もっと早く病院に行かなかったのか」「なんで、僕は彼の異常に気付いてあげられなかったのか」を考えると、後悔や自責の念はつきず、彼のいない空虚さやその後に込み上げてくる悲しみで、時間がたった今でも、心の痛みはおさまらない。
人は、年とともに立場やしがらみを考え、心を開けなくなっていく。そんな自分が、今後、インドネシアで親友と呼べる存在に出会う機会は多くはない。この地で彼と出会い、友となり、ある時間を共有した。彼を亡くした今、彼の存在の大きさに遅ればせながら気付いた。
(太田勉・インドネシア在、企業経営)
【交差点】親友との永遠の別れ
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琉球新報社
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