【交差点】新たな感動


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 近ごろ、福州の街で気になることが増えてきた。それも何のことはない、これまで沖縄で経験したようなことで特に戸惑いはないのだが、あのころと比べ、時と場所が違うだけに新たな感動や新鮮さを感ずることが多い。
 ある日曜日のこと。久しぶりに中国人の友人に誘われて皆と一緒に遠くへ連れ立った。ドライブかと思いきや、車で40分ほどの郊外にある「ブドウ狩り農園」に向かったのである。一帯は農山村地帯で自然景観に優れた山小屋風の「田舎料理の店」が客でにぎわっていた。
 4、5年前は、ほとんど見られなかった光景である。今日まで市内に住んでいて予想もしなかったのである。
 休日ともなると付近の路上や民家の近くまで車が埋め尽くすほど、家族連れや友人同士で楽しめる行楽スポットが次々に誕生している。
 経済発展とともに市民の暮らしぶりも良くなり、「行楽地のにぎわい」や「ショッピング」などに代表される「余暇利用」と「消費」に弾みがつき始めたのではないか。
 思えば、1970年代の沖縄でも所得の増加とともに県民大衆がこぞって行楽地へ出掛けたり、マイカーの購入、さらには車を利用しての買い物風景などが目立ち始めたころがあった。まさに、経済の成長期に見られる一種の社会現象の一つなのであろう。
 時間と場所こそ異なるが、今、福州で起きつつあるこの新たな様相に直面し、かつて沖縄での出来事がよみがえり、その思いと現実の福州での出来事を重ね合わせながら思い巡らしている。
 (仲宗根信明・県産業振興公社福州事務所長)