掟破りのチキンハヤシライス


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 シンガポール名物!? 掟(おきて)破りのチキンハヤシライスがシンガポールに登場! 弊社シンガポールフライヤー店舗のカフェでは今まで飲み物とケーキしか提供していなかった。弊社は、あくまでも小売りがメーンであり、ブティックサイドに、調理時のにおいが移り、お客さまに不快な印象を与えることを避けるためである。
 しかしながら、軽食を求めるお客が非常に多いことや、カフェの売り上げが伸びていることから軽食メニューの開発に乗り出した。シンプルで調理により発生するにおいをできるだけ抑えた調理方法ができ、店のイメージに合う日本と西洋が融合したような新メニューをいろいろ考えた末にハヤシライスに決めた。
 ハヤシライスは日本と西洋の薫りがするのと、カジュアルで老若男女に受け入れられるし、カレーのように甘口、辛口などと気を使わなくても済むという理由からである。ただ一点、問題があった。ハヤシライスといえば牛肉を使用するが、多民族国家であるシンガポールでは仏教やヒンズー教など、一部の中華やインド系住民が牛肉を食せない。また、出店している場所が観光地なので世界中からさまざまな人種が訪れることを考え、シンガポールで一般的に食され、しかも値段も安く、さまざまな宗教上の制約が少ない鶏肉を使用したチキンハヤシライスを開発、提供することにした。
 カフェには日本人観光客もよく訪れる。日本と若干違い、シンガポールを代表する食べ物にチキンライスがあるように、チキンを使用した食べ物は日本人や他の観光客にもアピールしやすい。メニュー開発をしながら、このカフェでの成功をバネに世界中へのフランチャイズ展開などももくろみながら、今日もせっせと試食三昧(ざんまい)で腹の出具合が気になり始めた今日このごろである。
 (遠山光一郎・シンガポール現地法人社長)